高波の日に海に向かって走り出す子供のように、気の向くままに乗せられて、いとも簡単にのまれていく。一生抜け出せない、決して簡単には戻って来れない波に。溺れていくのは簡単なこと。
これは新しいドラッグムービーと言ってもいいかもしれない。
ちょっぴり美しいけれど、どこにでもいる普通の青年とその父親。高揚感を味わってみたくて、思わず手を出してしまったのだろうか。
映画を観て私も軽々しくそんな気持ちを(高揚感を味わってみたい)抱いてしまった。
苦しみを想像するのは難しい。
愛する人でさえ、救うのは難しい。
見捨てずに寄り添ってくれる社会が追いつかなければ、多くの若者が命を落とすことになる。
あまりにもナチュラルで美しい一面と、苦しみから救いを求める弱った青年を見事に演じたティモシーシャラメには今後も注目せざるを得ない。