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ビューティフル・ボーイのaymmのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.3
「everything」そう言い合って抱き合う父子。
予告でも印象的だったこのシーンが、本作の全てだと感じました。


ドラッグに溺れるニックの姿が、決して美化されることなく描かれる。

あまりにも辛く残酷。

薬物依存の怖さを描いた映画は他にもあるが、本作は誰もが抱きうる心の弱さに、大いに触れた作品だと感じた。

家庭環境や才能に恵まれていたニックが陥る闇は、誰もがそうなる可能性があるものではないか。

それは薬物についてだけでなく、アルコールや性癖など、様々な問題についてだ。

本当に人は弱い。
時に抗えない衝動や病に負けてしまうことがある。

それを救うことができるのは、「すべて」をこえて愛してくれる、家族の存在なのだろう。



そして、本作の素晴らしさは、スティーブ・カレルと、ティモシー・シャラメ抜きでは語れない。

ただでさえ見ていられないほど辛いストーリーなのに、
二人の繊細な演技に心がボロボロになりそうだった。。
スティーブが歌う、ジョンレノンの「beautiful boy」が伝える愛は、苦しいほど深い。



冒頭、時間軸が行き来する描写では、まるで記憶をたどるように、父子が築いてきた関係性を目の当たりにしている感覚だった。

【補足】
ベルギー人監督のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンの英語初作品となった本作。

ティモシーは、本監督の「オーバーザブルースカイ」を見て、どうしても彼の作品に出たいと今回オーディションを受けたとか。
エモーショナルな表現が魅力だという、その作品も是非観たいもの。
今後も注目していきたい監督の一人となりました。
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