えんかつ

愛がなんだのえんかつのネタバレレビュー・内容・結末

愛がなんだ(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

若葉竜也、ナカハラくん。主張がなくて犬のように従うけどごくごく普通の男子。生まれた時からそういう男子だったように見える。若葉竜也という役者は人間観察が上手いんだろうな。自信のないこれくらいの男子ならこれくらいの動き、仕草、目線とか、ラーメン食べた後の会話の演技は特に良かった。最後にぺってするとこがもう最高。ナカハラくんには共感がすごかった。幸せになってほしい。優しくて穏やかな目線の良い写真だった。写真は全部ナカハラくんに見えている世界で、ターニングポイントの日の写真なんだと思うとあの展示会はエモい。それで来るんだもんな。たまらないな。でもまあやめとけ。写真の山田さんのすごくいい笑顔が印象深い。

 ふだん邦画の恋愛映画は共感できなくて苦手だ。好意があれば善人で好意が失せたら悪人として描かれる。相手の異性がゴミクズみたいに扱われる。エゴと都合のいい言い訳と正当化でうんざりする。
 原作の角田さんはエッセイしか読んだことがなく小説は未読。
 クズでダメな思考だと自覚しながら引きずられているというのがわかる映像と演出で安心して見ていられたし共感できて良かった。クズでダメだと切り捨てるにはあまりにも人間臭くてありがちで、そう思わせてくれるところがよかった。出産適齢期の女は出産するまでずっと子孫繁栄のための衝動に振り回される。山田さんもナカニシくんも一途でつらい。マモちゃんも葉子さんもスミレさんも、自分に好意を寄せてくる人を振り払えない弱さがあってつけこまれている。甘えてしまう弱さ。薬中アル中みたいに誘惑されている。まあマモちゃんはやめとけ。と思うけど山田さんにはお似合いなんだと思う。
 後半もう泣きそうな気持ちで見守ってしまった。胸が痛い。最後の場面が好き。
 脚本構成がうまかったしで、この監督の作品を追ってみたくなった。