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愛がなんだのOpenのネタバレレビュー・内容・結末

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

【追いケチャップの破壊力】

誰か缶ビール片手に語り合おう。笑
ちなみに観終わった後、缶ビール片手にうどんを食べました。

「好きな人ができた」なんて経験をしたことがある人はかなり多いと思う。少しでもそんな経験をしたことがあれば、この映画を観るのはかなり恥ずかしい。

色々身につまされる部分が多い。登場人物の言動のイタさがなんだかむず痒いが、それも結局ブーメラン。観てる自分へ返ってくる。「ブルージャスミン」や「スウィート17モンスター」を観ていた時のむず痒さがある。それは、イタイのが登場人物だけじゃなく、自分もだから。メタ的に自分を見つめ直すきっかけになる作品かもしれない。でも、観終わった後、報われなかった今までの自分の恋愛が成仏したような感覚になった。

とにかくテルコはマモルのことが好きすぎる。仕事や友達のことがどうでもよくなるくらい。連絡が来ないか待ち続け、来たらすぐ駆けつけ、身体の関係を持ち、干した洗濯物を丁寧に畳んでまとめ、一緒にお風呂に入り、2人で食べる用に土鍋を買って帰る…。でも、マモルの頭の中にいるのはテルコとは正反対のすみれさん。

「いや〜そんな男好きになっちゃダメだよ〜」と観客は思うし、スクリーンの中の人たちも思ってる。いやでもこれがブーメラン。

葉子はマモルと同じようなことしてるし、お互いのこと気持ち悪いと言うけどテルコとナカハラはほぼ同類。マモルは自分がテルコと同じように片想いをしていることに気づいていない。(5周くらい先回りして気遣ってんのはどっちだ!笑)

「皆結局気付いていないだけで、同じようなことしてるじゃん!!!」とツッコミたくなる観客たちこそ、自分がスクリーンの中の登場人物たちと同じような思考回路を持っているのを認めたくない。
人が怒るのは自分の思い通りにいかない時。テルコが葉子と言い合いになったのも、テルコがナカハラにキツく言ったのも、それぞれ思い当たる節が多少なりともあるからだ。

「愛がなんだ」
長いこと片想いするとこんな気持ちになる、というのを見事に凝縮したタイトル。好きなはずなのに、そもそも「好き」ってなんだっけ?「愛」とは?「恋」とは?みたいな。そんな執着の行く末が…

「マモちゃんになりたい」
すみれさんのバーターでもいいから一緒にいたい!いっそのことマモちゃんになりたい!という想い。ただ、相手のことが愛しすぎて1つになりたいと願うことは異常ではない。

ティモシーシャラメ主演で話題を呼んだ「君の名前で僕を呼んで」のタイトルは、「君と一体になりたいから君の名前で僕を呼んで」の意。劇中でも、酒の飲み過ぎで吐いた直後にキスしたり、明らかにサイズ違いな相手の服を着たり、好きすぎて1つになりたいという願望が垣間見える。この映画、ギリシャ神話の影響を大きく受けており、そういった思想は昔から自然であると言える。

結局、テルコはゾウの飼育員になった。マモちゃんになるために。

叶わぬ恋だと分かっていようと好きな人は追いかけてしまう。でも強がってなるべく友達でいようとも振る舞う。次の恋に踏み切ろうと思っても、たとえ踏み切れたとしても、その執着が完全に消えることはない。まるで机にこびりついた醤油の跡のように。マモちゃんのことが成田凌に見えてるのはテルコだけなのかもしれない。

その時の感情って「好き」とか「愛」とか「恋」とかなのか…?

「容疑者Xの献身」みたいに、その人に尽くしてる自分にしか生きてる実感が湧かないから?

ホントに、愛がなんだってんだ。
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