MasaichiYaguchi

THE GUILTY/ギルティのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.0
少人数のキャスト、舞台も警察の緊急通報指令室のみというシンプルなソリッド・シチュエーションの映画だが、上映時間88分の最初から最後まで緊張の糸が途切れることなくサスペンスが展開する。
今の映画館では、座席が前後左右や上下に動き、水や風、香り、フラッシュなどのエフェクトによって映画の様々なシーンとリアルタイムに、ダイナミックに連動する体験型の4DXシアターが流行りだが、この映画はそれとは真逆に音声だけで作品を成り立たせている。
つまり、観客にとって体験型4DXシアター映画が受動的なものであるならば、この作品は音声から喚起される観客のイメージで構成されるという能動的な映画だと思う。
主人公アスガーは緊急通報指令室のオペレーターとして、路上強盗やジャンキーの事故など、細々な事件を対処する日々を送っていたが、ある日、誘拐事件の通報を受けたことから切迫した状況に陥っていく。
アスガーが様々な人々とやり取りする中で、この誘拐事件の概要や背景が判明するが、終盤で衝撃的な様相を呈していく。
そしてそこでは、第一線で活躍していたが、今はオペレーターをしているアスガーをはじめとした登場人物たちの「闇」が炙り出され、タイトルに込められた真意が浮き彫りにされる。
これ以上削ぎ落としもないような設定だからこそ、作品で描かれた「贖罪」が深く心に響きます。