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THE GUILTY/ギルティのAskAのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
3.6
2019.2.13@ユーロライブ(試写会)








※良かった点
本当に88分間の95%以上画面の真ん中にひとりのおじさんがずっと映ってる。
作品の肝である受話器の向こうの〈音〉が聞こえている間もずっとおじさんが映ってる。電話機を持ったおじさん、ヘッドセットおじさん。
きっとミュートで見たらもう88分間ただのおじさん。
にもかかわらず、電話から聞こえる〈音〉のみで、何が起こっているのかこれから先どうなるのか、という想像力をとてつもなく掻き立てられる。この表現手法がとにかくすごい。
次から次へと進展する事件、明かされる悲劇、核心と正体。
事件としては結構エグいことが行われていて、あああ…となる点が作中いくつもあるのだが、その画を映し出さないのが余計にこわい。
物語の展開を電話越しの〈音〉に委ね、成立させることができているのはただただ単純にすごい。

また視聴環境について、この手法は映画館の大きなスピーカーを通じて聞くことに意味があるのだと思う。
テレビのスピーカーではダメだと思う。
しかもそのくせ少し小さめのスクリーンだとより良いと思う。密室っぽさが際立つ。
電話越しだけでなく、ウォーターサーバーの〈音〉、携帯のバイブレーションの〈音〉、そして無〈音〉。
これらは上記の環境でこそリアルに味わえるのではないかと思う。


※どうなの?と思った点
上記の88分間おじさんが映っているのがよいと思った反面、集中力が途切れたら画がとても単調に感じてしまう。
また、想像力を使いまくっているからか、実は◯◯なんじゃないの?という先読みはわりと簡単にできてしまう。
スコアを3.6にした理由は大筋のストーリーが想像の外を出なかったところが大きい。
ここまできたらもっとめちゃくちゃにして欲しかった。


※総括
ものすごく単純なのだが、今までになかった(と思う)映画表現。
これだけで充分楽しめる。
良いタイトル付けたなあ、と思う。
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