2019年 劇場鑑賞17
映画で事件が起こると、主人公たちが緊急ダイヤルに電話して、「はい。緊急ダイヤルです。どうしましたか?」ってよく見るけど、この作品は、そっち側だけ映し続けてる。
ヘッドフォンの向こうから聞こえてくる声だけを頼りに、事件をなんとか解決へ導きたい主人公。
次々変わる電話の向こうの声。
スクリーンに映し出されるのは主人公の表情だけ。
観ている私(たち)は全ての声にイメージをもって、その人の表情、性格、過去、未来にまで、主人公と一緒に想像を巡らす。
完全に出来上がったそのイメージがあるきっかけで180度ひっくり返される衝撃。
自分の先入観への恐怖、嫌悪感を感じながらも、結末へ向かう物語のストーリーに飲み込まれ、エンドロールの始まりで自分がこの作品にどれだけ支配されていたのかに気づかされた。