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CLIMAX クライマックスのTaiRaのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
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こんな打ち上げはイヤだ、どんな打ち上げ?の回答過ぎる。バッド入ったやつが多数派だとシラフのやつが一番酷い目遭うの真理。

企画から完成まで4ヶ月くらいの早ワザ。撮影15日、ほぼ脚本なしの即興らしいけど、順撮りだからか前半のセリフから展開が作られたりアイテムによる伏線回収とかしてて、ノエ適当に映画作ってんなーって関心しちゃった。冒頭のダンスは本当に3日間の練習で仕上げたとか。あそこはとても楽しい。ダンスしてるとこは総じて愉快。音楽も良くてユーロディスコ〜フレンチタッチ映画としても楽しい。バッドトリップ以降のカタストロフはいつものノエ映画って感じ。撮影の癖とかも。当人が見てる幻覚を映像化せずに徹底して客観で描くから喜劇性が高い。ソフィア・ブテラのパニック演技がウケる。地獄絵図に変わりないが、それ程露悪的にならず、決定的のものもあまり見せない配慮があって何だかんだ大衆性あるパニック映画になってる。オープニングから何度も出て来る俯瞰の画。雪原に倒れる血まみれの女が作るスノーエンジェルの跡やゲイリー・ニューマンのシンセポップ版「ジムノペディ」に神の存在を感じさせる。エリック・サティの「ジムノペディ」はそもそもギリシャの神々を讃える祭典から着想してる。それに台詞の中にも頻繁に神が出て来る。シャーマンとかが神と交信する時に幻覚剤使うのもあるし、色んな儀式においてドラッグとセックス、バイオレンスって用いられてるから、これもある種の儀式映画だと思う。だから神の視点が入り込むが、その神の介入はゼロ。カタストロフへの神の不介入が絶望的な後味を残す。ノエのナイーブさというか、人生の取り返しのつかなさへの恐怖心が如実に出てる。脚本もほぼない状態だからこのテーマ性も(意図的だとしたら)後付けかな。あと、子供を持つ女、妊婦、中絶経験者の三者が特に追い詰められるのも象徴的。赤い廊下が産道を想起。だとしたら赤い稽古場は子宮か?
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