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ロケットマンのyossieのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
4.4

実のところエルトン・ジョンは、あのチンドン屋(古っ)みたいな衣装から毛嫌いしているところもあって最初はあまり観る気もなかったし、曲も殆ど知らなかった。
観るのを決めたのはほんの1日前。たまたま時間があって一応話題作だし観ておこうっていうくらいのものだった。

彼がなんでこんなに奇抜な衣装でステージに立つのかようやくわかった。
普通なら無償で貰えるはずの親の愛を幼少期に全く得られなくて…それが彼の人生にずっとずっと影を落としている。

衣装が派手になればなるほど、彼は愛されないっていう孤独の渦の深いところにいたし、ステージだけが彼の居場所だったんだと。
彼の才能も気がついてくれたのは祖母でありまた祖母だけが彼を認めてくれていた。それはほんとに小さな救いだったと思う。両親は彼の才能にすら見向きもしない。親が全ての幼少期にあってあんな孤独な毎日を送っていたらそれこそ気が変になってしまうもの。
甘えるな、と父親に言われてきたのに、異母弟達は父親に抱きしめられている。ロールスロイスの後部座席に身を沈めそんな姿を目にするエルトン。そんな小さな幸せすらも味わわせてもらえなかったエントンの心の闇はどんだけ深かったろう。
プールの底で子供のリジーがおもちゃのピアノを弾きながら歌うロケットマンのシーン。
泣けて仕方がなかった。
幼いリジーをそっと抱きしめるエルトンは、幼かった自分が純粋にただただして欲しかったことを鮮明に表してると思う。
結局彼はバーニーという存在に救われてた。彼に恋をしててそれは報われなかったけれど、距離的に離れてる時もあったけど、バーニーは常に彼の傍にいたと思う。
彼の詩を読んで作ったエルトンの曲はバーニーへの想いの全てだと思う。
彼の歌に何も感じて来なかったけどこんなに深いものがそこにはあったんだと気づいたらエルトンの曲を聴かずにはいられなかったし、知ってしまったから聴いてて涙が出てしまう。
ストーリー的なことばかりになってしまったけれど、この作品でのタロン・エガートンは歌も演技も素晴らしかった。
次のキングスマン、楽しみにしています。
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