ころころもん

3-4x10月のころころもんのレビュー・感想・評価

3-4x10月(1990年製作の映画)
3.9
淀川長治が「無邪気と邪気をバーっと爆発させたような映画」と言っている。全体にくだらないコメディシーンを詰め込みながら、そのすぐ近くには常に暴力が存在している。

映画中BGMは存在しない。カメラは画面上で起こっている事から一定の距離をおく。物事はすべて淡々と過ぎていく。

暴力を目の前に人は無表情になる。ふるう側もふるわれる側も。主人公の柳憂怜はこんな世界の中で、当然のことながら、無気力に感情をストレートに表現することはできない。

英題は『Boiling Point』で訳すと”沸点”。ある一定の温度になると水はたちまちボコボコと泡を立てて蒸気に変化する。一見無気力な男は白昼夢の中で沸々とした感情を抱えて自殺願望に近い変化を夢想している。
いいシーンばっかりで最高。