白波

斬、の白波のレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.0
2019年1月劇場鑑賞
オープニングからその音楽にやられます。
もうとにかく格好良い。
それは長年連れ添った石川忠の音。
映画完成前に亡くなってしまったのは本当に残念でした。
しかし残された音を監督自ら編集していることもあって、マッチングが素晴らしいのです。
いつものように空気感が良く、少し張り詰めた感じが良く出ていました。
鋼の音も効果的で、刃の重みも伝わってきたのが個人的に良かったです。
物語は勧善懲悪な復讐劇などではなく、望まぬとも巻き込まれてしまう人間の業や輪廻のような世界を良く描いていました。
主演の池松壮亮も初めて見た「銀と金」を思うととても成長が見られ、雰囲気がとても良くなっていました。
ただ周りを囲むキャストが凄いので、やはり少し軽さを感じたのも確か。
意外だったのは刀がテーマな割には血しぶきがなかったことでしょうか。いつもならもっと吹き出していると思うのですが、やや控えめな印象でした。
ラストの置き方もとても監督らしくて良かったです。
そしてエンドロールでの石川忠のクレジット、このオマージュたっぷりの演出に少し泣きそうになりました。
いわゆるチャンバラ映画とは違いますが、切り取り方がとても面白く実に塚本作品です。
腹に重く響く時代劇でした。
白波

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