cham

斬、のchamのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.7
映画が公開されたとき、劇場を変えて何度も観に行きました。刀のジリジリとした音が響き、まるで観ているだけで鉄の重さが伝わってくる。映画館が違うと音響の響きが全然違い、その度に新鮮な臨場感がありました。Blu-rayを購入し家で鑑賞していたら家でもその鉄の響く音があり感動。

遠い昔のヒーローのように扱われていた時代劇のお侍が、現代を生きる若者と同じような感覚でかつ自然に描かれているのが印象的で、繊細さを持ち合わせていた若き武士が自分の命を捨ててまで戦に引きずり込もうとする剣豪と出会い凶器を引き出されいくまでが恐ろしく、今を生きる我々やその先祖の命はなんのために授かったものなのか、なんのために人を殺さなければならないのか。時代劇でありながら、そんなことを立ち止まって考えさせてくれる。

塚本監督の前作、野火のメイキングを見たとき、その辺に転がる死体や戦車など一つ一つがボランティアスタッフの手作りでそのクオリティの高さに息をのみましたが、この作品もところどころにおそらく手作りであろう生々しい創作物が転がっていて、そういう細かいところにも興味が湧きます。
cham

cham