ユーライ

さよならくちびるのユーライのレビュー・感想・評価

さよならくちびる(2019年製作の映画)
3.8
「映画術」はバイブルだが、監督した映画を観るのは初めて。ロードムービーであるから、車内から捉えた風景が刻々と変わっていく様に合わせて関係性も変化していく。三者の組み合わせ、画面のポジショニングからサスペンスが生まれる。それぞれ唇を重ねるが、その想いを解消するために最後の歌がある。最後は恋愛関係に決着を付ける誠実さより、このままモラトリアムを続けさせたい映画の遊戯性に準じたように思えた。感情移入しながら見ていると、そこが逆に不誠実に感じられる。ここでは間に挟まる男が不可分のバランスで成り立っている。理屈は分かるが、破綻がないことが窮屈、その代わりオチには開放感があった。ホームレスと女児の挿話は、ひょっとして「映画術」の話を持ってきているのかしら。ファンの距離が近い女子二人に割く尺がちょっと異様な長さなのだが、どうやら次作の主演らしく、百合ユニバースでも形成するつもりなのか、どうか。
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