まぬままおま

左様ならのまぬままおまのレビュー・感想・評価

左様なら(2018年製作の映画)
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芋生悠の出演映画を引き続き、『朝がくるとむなしくなる』に向けて石橋夕帆監督作品。

男女共学高校の青春映画をみると「むなしくなる」。高校が共学なんてありえない世界線を生きていたので、私には絶対現れなかった時空間をみせられると胸が痛くなる。

ただあの教室の世界にいたくはないとも思ってしまう。全てが人間関係に回収される世界。誰が好きで、誰と仲が良くて、誰かといるために交わされる話/彼ら彼女たち。うんざりする。グループ分けとか最悪だ。

由紀はハブられて独りになる。でも由紀と瀬戸さんは孤独な個人たちであったから親密になれたし、彼女は忍野と関われたのだと思う。人間関係なんてそれぐらいがちょうどいいし、泣く必要も泣けなかったことを責める必要もない。

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補稿
本作は多くの役者がキャスティングされており、教室や高校生が生きる世界の空気感を形作っているから凄い。ただ本作が群像劇かと言えばそうでもないし、由紀を中心とした映画とも残念ながら言えない。空気感映画なのだ。それがなんだかなー。イメージが情感に訴えるだけであって、それでいいのかと思ってしまう。それは寄りのショットが少なく、引きで撮って彼らの関係や彼らがいる世界を描いていることから言える。だから彼らに感情移入ができるわけではないし、「高校生の時のあの感じ分かるわ~」が大体の感想だと思われる。正直、それ以上もそれ以下の感想も持ち得ない。ただ感情移入させるべきとは思わないが、そのための作劇は生活アンケートのシーンからも乏しいと言わざるを得ない。

蛇足
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のサントラCDがカフェにあるやん。

ライブハウスのシークエンスがとてもよくて、芋生悠みたいな人がおしゃれせずにふらっとやってきたらみんな好きになってしまうと思う。

あと石川瑠華のギャルみが凄い。