トム

ヘイト・ユー・ギブのトムのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
4.3
●あらすじ
私立で白人と共存するために、本来の自分を隠して過ごすスター。


●感想
ー子供に与える憎しみが、全てを蝕むー

ハーレイ・クインの監督に正座させて見せたい映画

マイノリティ、差別関係の映画では分断をしてはいけない。分断こそが差別だからだ。
この映画では、
・警官側にも黒人がいる
・黒人の主人公の彼氏が白人
・親友が白人
というポイントがある。
このように、白人=完全悪という分断をしてないところが評価に値するポイント。
だからこそ色んな立場の視点からの差別に対する想い、複雑さが表現されて良い。その複雑さが、考えらせられるモノになってる。

本当に上質な映画だった。
黒人差別モノの作品で1番考えらせられた。
友達が殺される→抗議→裁判のようなありきたりな流れじゃないのがまた良かった。
主役が笑顔から優しさが滲み出て、美しさも可愛さも兼ね備えるステンバーグがまた良い。
白人にも良い奴がいる描き方、ただそこには無意識に偽善的な行為をしている人もおり複雑だなと考えらせられる。
白人彼氏カイルの存在も本当に良かった。「君を助けたい!」それを伝えてもスターは、「あなたたちには気持ちは分からないだろう」と塞ぎ込む。肌は一緒だとか伝えるも、その過去の辛さで否定される。難しいよね。
カイルの気持ちは、視聴者の気持ちを投影しやすく共感できる。だからこそ、私たちの差別に対する考えがいかに簡単に 通らないか、という事も分かる。難しい問題だよね。

警察側のマニュアル対処法を黒人警官が語るシーンも素晴らしい。黒人=犯罪率が高いというものは事実なので、黒人警官でさえも疑心暗鬼になるのが窺える。
「黒人は銃を持って俺たちの事を殺そうとしている!」という警官の不安で撃ってしまう。撃つか撃たれるか、死ぬか生きるかの緊迫した中で、不審な行動されたら撃ってしまうのは誰でも同じだと思うんだよね...。

では、黒人の犯罪率が高い理由は?肌の色?人種?全く違う。黒人への差別や歴史背景が貧困に繋がっており、犯罪に走るしかないのが現状。そこを改善しないといけない。

ただ、結局、犯罪率が増える根元を潰す(黒人の採用を増やす)事をしようとしても、採用側の犯罪に繋がらないかの不安は消えない。犯罪率が高いのは事実だから...。
ほんと、悪循環だよね...。

だから、私たちが出来ることは黒人という括りでは無く、人間個人として見るべきだと思う。そうすれば、きっと憎み合いの連鎖は断ち切れると思う。

ただ白人警官が罪軽くなるのはマジでどうにかして欲しい。あれは不公平すぎる。

地味に催涙ガスは牛乳で症状を抑える事を知れた。

他にも名前に込められた強い想いやハリーポッターの杖。スニーカーブランドなど印象的なポイントもあって良くできてた。
トム

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