イマジンカイザー

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

5.0
テレビシリーズ時点で既に提示されていた、自動手記人形《ドール》という職業の潮目とその後。思いも依らない登場人物を用いてその辺を描き、作品大本の筋と絡め昇華するのにはシビれました。

職を得て、この生活に馴染みながらも心に開いた大穴を埋められずにいたヴァイオレット。本編で生死を曖昧にしていたのなら、当然返る答えは『そう』だろうとは思っていましたが、ここに対し別口の『依頼』を重ね、彼女の感情に後押しする話の流れはベタなれどきれい。

京アニ作として否応なしにハードルの上がる作画・動画・色彩すべて、ケチのつけようがないくらい高水準。加えて本作は感情の揺れ動きを表現する声優さんたちの熱演も見事。特に子安さん演じる社長のとある場面の『絶叫』は、怒りとやるせなさ、その他諸々がごたまぜとなった部分をひとことで描き、そこに作画が合わさることで、観ているこちらにまで気持ちが乗りました。

若干手間で、配信されているところもそう多くはないのですが、ヴァイオレットや主要登場人物たちのキモチを理解するためにも、テレビシリーズ十三話は先んじて観ておきたいところ。テレビ本編からの総まとめ、電話社会の中での手紙とは、をきっちり魅せた締めに大満足でございました。