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凪待ちのizumoのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
3.4
ギャンブルと酒におぼれる男が再起を図ろうと石巻に恋人とその娘の三人で移住するも、恋人が何者かによって殺されたことにより再び自堕落な生活にはまってしまう、という話。

「わかっちゃいるけどやめられない」ループにはまってどん底まで落ちていく、ことが主題なのではなく、それを行わなければ自分を保つことができない、あるいはそれぐらいしか自分が頼れるものがない、という状況が問題であることを表現した作品なのではないかと思った。
郁夫はだからあれだけ苦しみ、周りの人間もなんだかんだ言って彼を見放さなかった。もし彼が吹っ切れていたら、こういう話にはならなかったのではと思う。
石巻を舞台とすることで、「ダメになってしまったものを立て直す」ことの難しさと、でもそれは可能なんだよ、ということを伝えたいんだろうけれど、現実問題我々のなかでは(地元の人たち以外は)3.11と石巻の被災の記憶は風化しつつあるし、外からのサポートという面も当時に比べると無くなってしまったわけで(とくに2020年以降はそれどころではなくなってしまった)、伝えたかったことと真逆な状況が作り出されており、
「まだ創作のほうが救いがあるよなぁ…」とちょっと引いた目で見てしまう、そんな世知辛さを感じた。

香取君の陰のオーラを十二分に楽しめる。
もはや慎吾ママのイメージはどこにもない。
こういうくたびれたマダオ、競艇場の周りとかに本当にいそう。
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