No1

凪待ちのNo1のネタバレレビュー・内容・結末

凪待ち(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2021年51作目。

“凪待ち”とは多分、漁に出られるように穏やかな海を待つ、みたいな意味合いで、漁師を家業とする家が舞台であることと絡めて主人公郁男の平穏な日を待つ心を表しているのだと思う。

とにかくギャンブル依存から抜け出せない様子を見るのが辛かったが、殺された恋人の父親と娘が見放さずに家族として接してくれていることに心温まるどころか胸締め付けられる苦しさすら感じた。どれだけ周りに助けられても、自分の心の穴を埋めるようにギャンブルに有り金を注ぎ込む。あらゆる依存症はこのような不快感情とリンクしていることが多いようだ。

演技から感じた殺人犯の動機は、亜弓のことを愛していて殺すことで自分を彼女の特別な存在にしたかったから、だろうか。連行されるときの彼の発言は、郁男よりも自分の方が彼女を愛しているという挑発的な告白に感じ取れた。全てを愛していたから家族にも、郁男にすら親切にしていたのだろう。

監督含む製作側が震災で被害を受けた人達の心と重ねてメッセージを発信しているようにも受け取れた。カツミさんの、津波で新しい海になった、的な台詞でほぼ確信した。前を向いて生きよう、というメッセージを。

映画とは無関係だが、朝ドラモネのすーちゃんがここにもメインキャストとして出てきたという偶然が嬉しかった。震災をテーマにして宮城が舞台なのも同じだし。
だが今作では引きこもりしてた割に病んでる雰囲気が出てなかった。今後に期待。

涙…0
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