津波の被害に遭った石巻を舞台に、恋人を殺されたギャンブル依存症の男の「喪失と再生」をテーマにしたヒューマンドラマ。
ストーリーもさることながら、この作品は何よりも香取慎吾が素晴らしい。
私達が知っているアイドルの香取慎吾は、もはやどこにもいなかった。
様々な眼で表す感情に凄味があり、大きな体や背中から発するエネルギーも強烈。
ギャンブルにどっぷりハマり、歯止めが効かなくなる狂人の目付きは、背筋がゾクッとするような得体の知れない恐ろしさがあった。
自傷行為のような暴力も不気味な迫力。
そして、彼を起用し、ギャンブル依存症のクズ男を見事に演じきらせた白石監督は改めて本当に凄い監督だと思わされた。
石巻の今の風景、震災の残した様々な傷についても、
さりげなく、だけど丁寧に描いてあり、とてもよかった。
静かな余韻が長く心に残る傑作。