せりな

ヒトラーと戦った22日間のせりなのレビュー・感想・評価

ヒトラーと戦った22日間(2018年製作の映画)
4.5
絶滅収容所が反乱が原因で潰されたって話は、以前にどこかで読んだか聞いた記憶があったんだけど、映像作品として見ることができたのは良い経験でした。

ナチスやホロコーストに関する作品には沢山触れてきたけど、反乱を成功させたのはゾビブルだけだから、他の作品とは趣が違いました。随分、昔にゾビブルの脱出劇の映画が作られていたみたいですが、そちらは知りませんでした。
他の作品だと、運良く脱走した人や隠れ続けた人、他国への逃亡などで、収容所内で反乱軍を組織化するものはない気がします。
この反乱が成功したのも、ソ連軍が近づいていたことや、元軍人で脱走計画を過去にも経験していた人がいたりと、様々な要因が重なり合ってギリギリ成功したのだと思いました。

反乱軍を組織して脱出することをテーマにしているからか、ユダヤ人に対しての残虐な行為よりも、ドイツ人将校の末路の方が残酷な描写だったと思いました。
ユダヤ人たちが酷い目に遭っているシーンはあるものの、職人として仕事が与えられている人たちだからか、ゾンダーコマンドに焦点を当てた作品に比べると描写がソフトに感じました。あまり、ホロコースト関連の映像作品に触れていない人には、ソフトではないと思いますが。

ペチェルスキーとフレンツェルの関係や、収容所内での生活、簡単な紹介ですが脱出後の彼らの事など、脱出劇以外にも注目できる点があり戦争史を知る上でも良い作品だと思います。


今回は、トーク付きの試写だったのでロシア大使やイスラエル次席公使のお話しと、東京女子大学名誉教授の芝健介氏と准教授の柳原伸洋氏のお話しが聞けたのも良かったです。
映画なので、絵的に美化される部分や脚色された部分が出てきてしまうのは仕方がないですが、映画を切っ掛けに、ホロコーストや戦争について考える人が増えればと思いました。
戦争を美化したり賛美する様な思想がどうして生まれてしまうのか、平和を望むなら向き合っていかなければいけない課題だと思います。


映画とは全く関係ないですが、ロシア大使の日本語が上手すぎたし挨拶文が日本式な文面で、日本在住歴長いのかなと思いました。
すごく丁寧な言葉で挨拶されてて、とても素敵でした。
あと、いつも思うことなんだけど、残酷なドイツ人将校役の役者さん、本当に嫌悪感感じる演技が上手いと思う。ドイツ兵にもユダヤ人を助けてくれた人もいるけど、絶対的な立場にいる人間の残虐さって本当に恐ろしい…
生き残りの人たちのインタビュー記事とか見つけたけど、全部英語だ。頑張って読もう。
せりな

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