YANAREN

ドクター・スリープのYANARENのレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
3.0
言わずと知れた名作ホラー「シャイニング」の続編。主人公は大人になった少年ダニー。だがかつての純朴な少年の面影はなく、アルコール依存の冴えないおじさんに。自分と同じシャイニング(簡単に言えば超能力)を持つ少女と出会い、少年少女殺しの悪の存在に立ち向かう…

映画としては既に完成されたといえる不思議な魅力を持つ「シャイニング」(厳密にはキューブリック版シャイニング)。原作者のスティーブン・キングが続編の小説を出版したことから映画のファンであった監督が映像化を決めたそうだが、根強いファンがいることを考えるとそのプレッシャーは相当のものだっただろう。しかし、音楽やセット、登場人物にこだわり(特にジャック・ニコルソンは本人と見間違うほど)、結果として映画の続編としながらもそれ単体で楽しめ、原作の雰囲気を壊さず、スティーブン・キングを怒らせない(キューブリックが制作したシャイニングは原作とあまりにかけ離れていたためスティーブン・キングが激怒し後に自身で映画を撮り直したという経緯がある)ものを作り上げたのだからその手腕に感嘆する。

最後まで観て思ったが、これはキューブリック版「シャイニング」の続編でありながら、新解釈「シャイニング」と呼ぶこともできるのではなかろうか。あるいは、スティーブン・キングの原作を基にしているため、厳密には真の「シャイニング」と呼ぶ方が正しいのかもしれない。いずれにせよ、この映画を観ると既に観た「シャイニング」の捉え方も変わってくるため、この映画を観る前にはまずそちらを観て、今作を観た後再び「シャイニング」を観返すことをおすすめしたい。
YANAREN

YANAREN