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僕はイエス様が嫌いのKHのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
4.0
この映画は別に宗教や信仰を否定してるわけでも、皮肉しているわけでもないと思う。
なにか大きな悲劇が自分の身の回りに降りかかった時、人はその悲劇があたかも自分ごとのように振る舞い悲しみ、それをシステム(宗教だけでなく慣習レベルでも)に当てはめてその通りに行動することは、正直な子供の眼差しで見てみると、あまりに空虚で滑稽かもしれない。でも本当は信じるものがない方がずっと虚しい。人間は古くから物語(死後の世界を空想したり)を作ることで、この世界の不条理から立ち直ってきたのだと思う。
でもそれらを、子供の素直な目線とリトル・イエスによって異常性を炙り出しているのは、映画的に面白い。
映像的には光と影や、寒色と暖色とを使い分けることで真冬の寒さの空気感や痛さが伝わってきた。構図や色味をこだわっているなと思った。
普通の映画は被写体となる人物を中心に背景が動いている様に感じるが、この映画では静的な場所に人間たちが映り込んで来ている様な印象を受けた。
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