sugazo

アルキメデスの大戦のsugazoのネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

これは…久しぶりに魂が揺さぶられた。大袈裟ではなく。

菅田君、柄本君、浜辺さん等旬の俳優陣も、舘ひろし他ベテラン俳優陣も皆良いけど、田中泯さん演じる平山造船中将が本当の意味での主役でしょう。単なる悪役ではなく、何か深い考えを持っていそうな気配はしていたけど、まさか、あんな…

大和が沈むシーンで始まり、最初に結末を見せられて、これからどんな気持ちで見ればいいのかと思ったけど、完全に杞憂。

序盤~中盤の平山中将案の安すぎる見積もりの謎を解き明かせパートも充分面白いんだけど、終盤が秀逸過ぎて、見終わった今となってはただのネタ振り。

以下、ネタバレ

終盤の会議の白熱した応酬は間違いなく熱いが、平山中将が「見積もりを偽装したのは敵国を欺く為ですわ」って主張していた時点までは会議モノの良作!程度の印象だった。

しかしその後、負けを認めた平山中将が、菅田将暉(主人公)に真意を打ち明ける。

莫大な予算を投じて建造する大和は、沈める為に作る。

日露戦争の勝利に勘違いした日本は確実に戦争に突き進む。
国力がちがい過ぎる英米と戦えば日本は確実にボコボコにされるが、日本人は負け方を知らない。
国が焼かれて国民が何千万と死んで、立ち直れないぐらいやられないと負けを受け入れられない。
大きな犠牲を回避するためには、力の象徴である巨大戦艦が沈められ、振り上げた拳を下げるきっかけとする必要がある。
大和はそのため犠牲、日本の拠代だと。

何と大局的な考え方か…

映画館で隣の老人夫婦がすすり泣いていた。そりゃそうよね、と思った。

結局日本は大和を沈められただけでは止まることができず、特攻で若い命を犠牲にして、2発の原爆を落とされてやっと終戦になるんだけども。その辺りの歴史まで考えてしまうと、戦争を全く知らない世代の自分でも、さすがに。

考えようによっては、序盤にヒントはあったのかも。菅田将暉も舘ひろし(山本五十六)も、英米に勝てる訳と断言している。つまり、空母が良いか戦艦が良いか、なんていう会議のテーマは、どっちを作ろうが無意味、という。

大和建造の真の目的の下りはもちろんフィクションだと思うけど、こんなストーリーを考えた奴の顔が見てみたい。(原作者ググれば見れるのだろうが…)
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