黒田隆憲

15年後のラブソングの黒田隆憲のネタバレレビュー・内容・結末

15年後のラブソング(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

お互い仕事を持ち、経済的にも安定し地元の人たちとも上手くやっている仲睦まじい(ように見える)夫婦の綻びが夫の浮気によって顕在化。同じ時期、妻の元には「あるきっかけ」で夫が心酔する90年代に活躍した伝説のロックミュージシャンからメールが届いて……という、『ハイフィデリティ』や『アバウト・ア・ボーイ』を執筆し、しょーもない男を描いたら右に出る者はいない(?)ニック・ホーンビィらしいストーリー。

現在は消息不明のミュージシャン、タッカー・クロウ(イーサン・ホーク)が好き過ぎてブログを立ち上げ、そこに集まるファンと交流を重ねたり、彼に関する記事や音源を収集しまくったりしている夫ダンカン(クリス・オダウド)に、マイブラが好き過ぎてブログを立ち上げ、当時消息不明だったケヴィン・シールズの情報を血眼になって探していた自分を重ね合わせてしまった(笑)。

お腹が太鼓みたいに膨らんだイーサン・ホークの中年っぷりも、素敵に年を重ねたローズ・バーンの服の着こなし方も、夫婦が暮らす家(何であんな豪邸なんだ?)のインテリアも、「結局、長年連れ添った夫婦が一番だよね?」という収まり方“じゃなかった”のも、全て良かった。

イーサン・ホークがエレピ1本で歌うキンクスの「ウォータールー・サンセット」をはじめ、劇中で流れる音楽がどれも素晴らしい。備忘録がてら列挙すると、プリテンダーズの「Brass In Pocket」、スージー・ジェーン・ホコムの「For Day Like Today」、マリアンヌ・フェイスフルの「Come And Stay With Me」、シルビー・シモンズ「Hard Act To Follow」、イージービーツ「Sorry」、ウィルコ「Country Disappeared」、パティ&ジ・エンブレムス「Mixed-Up, Shook-Up Girl」……。監督がレモンヘッズの元ベーシスト、ジェシー・ペレッツだと聞いて納得。

ウィルコをBGMに、イーサン・ホークが自分の息子とドライブするシーンで「『6才のボクが、大人になるとき」かよ!」と思ったのは私だけではないはず。
黒田隆憲

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