半兵衛

殺人者にスポットライトの半兵衛のレビュー・感想・評価

殺人者にスポットライト(1961年製作の映画)
3.7
亡くなったものの遺体が紛失してしまった伯爵の遺産相続のために集まった親族が古城で次々と謎の死を遂げる…といういかにもミステリーらしい展開を、ケレンと見栄だけで押しきるジョルジュ監督の演出スタイルはイタリアンジャーロのような「画面が映えることをとにかく優先し、それでお客さんにインパクトを与える!」という強いこだわりがあって嫌いじゃない。ただ話が結構ヘッポコだったりする、遺産を相続できない親族が古城でショーを開催するというストーリーも結構ぶっ飛んでいるが、そのショーの最中死人が出たにも関わらず翌日も普通にショーが行われるってありえないだろ。

親族の人間関係も横溝正史や2時間ドラマっぽい、それでも普通真っ先に殺されそうな酔っぱらいの男とその妻が結構頑張りそれどころか終盤結構な活躍を披露する。あと実質的な主人公のジャン=ルイ・トランティニャンが探偵役になるのだが、中盤まで一緒に着いてきたものの親族に紹介することが出来ず離れて行動する羽目になった恋人とイチャイチャしているのでどうなるかと思った。

撮影に使用された古城がいかにも歴史のある城っぽく趣があってミステリーにぴったり、そんなお城で光と音のみで繰り広げられる歴史ショーも監督の映像と音響センスが冴えまくって本当に馬が城を走り人が息をして歩いているような錯覚を受けてちょっとした衝撃を受けた。そして城に設置された機械が不意に作動しセンサーの光の点滅が観客の心臓のドキドキと重なる場面のインパクト!

トランティニャンの恋人が何故映画に出てくるのか今一つ理解ができなかったが、ラストで氷解。

ちなみにタイトルの意味は終盤回収されるが、犯人の暴きかたといいあっさり気味で雑な印象。
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