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ふたりの女王 メアリーとエリザベスのtomozoのレビュー・感想・評価

3.8
ふたりの女王 メアリーとエリザベス(2019)
#movie #tomovie

16世紀のスコットランド女王メアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)と、イングランド女王エリザベスI世(マーゴット・ロビー)の波乱に満ちた人生を描く。
 
まずは2人の女優の化けぶりに驚き。どちらも肖像画が残っているが、メアリー・スチュアート役のシーアーシャ・ローナンはもともと顔が似たタイプだが(アイルランド生まれだし)、女王エリザベスI世役のマーゴット・ロビーはあのハーレイ・クインであり、オーストラリア出身。よくぞ化けたものだと感心!
 
史実に基づいた話なので、一応歴史を知ってからみたものの、ともかくドロドロ(苦笑)。「ブーリン家の姉妹」を観ていたので、なぜエリザベスとメアリーとで王位継承権を争うのかなどがあらかじめ分かっていてよかった。
 
それにしても、この時代に女王として生きることの大変さったら!2人の女王は対照的な生き方をする。メアリーは王位継承権のため子供を作ることが最優先、そのための婚姻は王位を狙う人々の策略や陰謀がついてまわってしまう。結果、ずっと一緒の侍女以外は裏切りだらけ。(この侍女たちとの関係は束の間の女性らしい時間でかわいかった)
 
もう一人の女王は、策略や陰謀から逃れるため、生涯独身を通す。
 
この映画では題名には二人の名前があるが、実質メアリーの物語(原題はMary Queen of Scots)で、エリザベスを登場させることで、同じ境遇である2人の女王を対比させるのが手段だったのだろう。終盤の2人の出会いは、それが効果的に使われている。夫からも身内からも裏切られ、追い込まれながらも前に進もうとする美しき勇敢なメアリーと、鎧のような豪華な衣装とかつらをまとい、厚化粧に表情を隠すエリザベス。唯一お互いの立場がわかりあえる存在でありながら、メアリーは断頭台に消えるのだから、歴史は残酷。
 
でも結局のところ、メアリーの血は連綿と続き、現在のイギリス王室につながっているので、エリザベスが望んだのかどうかはわからないけど、あの策略家アン・ブーリンの血は残らなかったということになる。なるほどね。
 
2人の女優の化けぶりは良かったものの、ちょっと弱かったかな。というより、まだ若いといったほうが正しいのがシアーシャ・ローナンで、ときどきあどけなさが見え隠れする。特に終盤のマーゴット・ロビーが怖いぐらいに無表情で良かったので、よけいに感じてしまう。女優の迫力といった点では「ブーリン家の姉妹」のナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンの2人の方が見応えがあった。
 
というわけで、この女王ものにハマってきたので、次はあの名女優の演じる王女様をみようと思います!
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