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岬の兄妹のkakofukasiのネタバレレビュー・内容・結末

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

小人症と思われる彼との出会いは、真理子にとってはおそらく人生で1番の喜びだったのではないか。だが、それは1時間一万円という限定的な時間、空間でしか成立しないものであり、かつそもそもが兄による売春の斡旋という非道徳的で、犯罪にも当たる行為によってかろうじて成立するものであったことが、真理子の妊娠、そしてそれを小人症の彼に告げに行くシーンで嫌というほど突きつけられる。その切なさと言ったらなかったし、彼なら真理子と上手くやっていけるのではないかと、兄と同じく都合よく考えてしまっていた自分自身に、彼の言葉が重たく響いた。あの瞬間、物語的なご都合主義から突き放されて、真理子が路上で喚き立てるけたたましい声に、思わず耳を塞ぎたくなった。
最後のシーンは冒頭のシーンが反復される。行方不明になった真理子を探す兄が、警察官の元同級生に電話をかけながら、海の方へ捜索に向かう。冒頭ではすぐに発見できなかったが、ラストでは波打ち際の岸壁に立っている真理子を発見する。その時兄のケータイが鳴り、真理子が反射的に振り返る。自分が必要とされているという喜びを知った真理子の表情と、兄の罪悪感に苛まれた表情が交錯して、物語は終わる。
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