kakofukasi

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのkakofukasiのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

怖いもの見たさが映画の推進力と思いきや、そうでもない構成の妙があった気がする。
家とゴールデングローブと教会の位置関係。ホンカはほぼ家とゴールデングローブの行き来しかしないが、その(おそらくはちょうど)真ん中あたりに教会が位置している。
ホンカが娼婦を連れて帰る描写には必ず?教会が映り、また車に轢かれて酒を絶とうと改心しかけるのもまた教会の真ん前の出来事。
修道女が彼を介抱すると、次の日からは人が変わったようにシラフの顔つきで働き始めるところも印象的。
途中でゴールデングローブを訪れる、おそらくは教会の活動で生活困窮者に食料などを提供している女性の凛とした目つきと、酒浸りの3人組の娼婦との対比や会話のすれ違いも、見るものの視線を引き裂く。彼女によって1人はゴールデングローブから逃走できる。そして、ホンカに連れて行かれた3人のうち1人は教会の入り口で倒れ、殺されずに済む。そのランダム具合がまた見ていて辛い。
メガネの青年の立ち位置が微妙だが、最初の登場シーンでコーラを買いに店に入った時、彼に入れ替わるようにホンカがライターを差し出している映像が頭に残っているせいか、彼はホンカのあり得たかもしれない過去の姿なのかもしれないと思わせるところがある。
ホンカと、あの学校を落第した女の子との出会いが冒頭にあり、彼女がどうなるのか?という関心は最後まで引っ張られる。ラストシーンは、ホンカは若い女性を自室に招き入れることがそもそも出来なかったのではないかと思うが、なにも知らないあの女の子が自転車を引っぱりながらこちら側に歩いて消えていくのは、彼の存在が彼女に明確に認識されないその非対称性によって、気持ちの悪さが余計に引き立っていたように思う。
警察に連行されるホンカの一瞬のカメラ目線はやめてほしかった。
kakofukasi

kakofukasi