感じ方が難しいなあというのが率直な感想。鑑賞者が置かれている環境によって感想はだいぶ変わるだろう。いろんな社会問題に結び付けたりして色々論じることは出来るが、意地の悪い言い方をすると、自分事でなければ結局は高みの見物でしかないよなあ、とか。
そういうことは置いといて純粋にフィクションとして観ると、喜悲劇という言葉が浮かんできた。悲劇ではあるのだが喜劇のように思えてくる。ご丁寧に下ネタのギャグも盛り込まれ笑いを誘い、話が進むにつれて悲惨だった兄妹は次第に活力を得ていくのだ。やっていることは最低なのに、がんばれと応援したくなる。この兄は安全なところにいる人間からの哀れみをもって差し伸べられた手は拒否する。だが自分と同じく“底辺”にいると思い込んでいる者へ協力を求めて拒否される。人間ってそういうものだよねえ、と他人事のように思わせるところも意地悪いつくりだ。
