きむら

岬の兄妹のきむらのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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ウェルベックの小説を読んだような。
映画であることを確認して安心してしまうような映画だった。
生きるために、取るに足らない世界を相手にして真面目に戦うのはつらいことで
世界はかなり強大でもはや人間の理性が捉え切れる限界を超えて複雑化し暴力的になっている

まりこが売春に関してどこまで理解できているのかが曖昧になっていることで、良夫がどこまで人間を保っているのかの線引きはされない。

最後、電話がかかってきてそれを振り返るまりこの、全てを狂気とともに受け止めることで獲得されたように見える聖母性の眼差しは圧倒的。
まりこがクレヨンで書いているのは海だったんじゃないか?と思う、海に入って泳ぐシーン、砂浜、最後のシーンがそういえば印象的だった。海=母のイメージを当てはめようとしてしまうのは邪推な気がする。
きむら

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