まぬままおま

彼女はひとりのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

彼女はひとり(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

彼女が常に既にひとりであるならば、橋から飛び降り、死によってひとりになることを選びはしない。

澄子には、いつも父がいて、幼馴染の秀明がいる。「秘密」によってこの世を去った母もさとこだって、幻影/霊として彼女のそばにいる。澄子は秀明のことが好きなはずで、彼と二人きりになりたいのに、彼の背後には二人の「彼女」がいる。澄子の願望が実現されない現実。それならば、独りきりになりたいのに、どうしようもなく彼女の周りにはいつも誰かが付き纏っているのである。
だから彼女は彼を、現実を壊そうとする。現実の独りになれない耐えがたさにもがいて。

澄子に手を差し伸べる波多野の優しさは救いになるのか。他者に身を委ねること、信じること、それは澄子が誰かのそばにいることであり、正しいひとりのあり方のように思えるけれど。