換気

この世界の(さらにいくつもの)片隅にの換気のレビュー・感想・評価

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観て数日経ってから、茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」を思い出した。

読み返すとこんな一節があった。
「わたしが一番きれいだったとき わたしの頭はからっぽで わたしの心はかたくなで 手足ばかりが栗色に光った」

人生で一番きれいで楽しいはずの時期を戦争の中で生きることへの怒りをうたった茨木のり子。
おわりは「だから決めた できれば長生きすることに 年とってから凄く美しい絵を描いた フランスのルオー爺さんのように ね」
といって締めくくる。


生命力のつよいしなやかな生き方は似通うところがあるようで、
一方で「このせか」のすずは戦時中で生活も困窮していくなかでも、恋に悩み、この世代を生きるひとりの人として普遍的なことに頭を悩ませてたりもする。

茨木のり子と対比するわけではないけど、過酷な状況でも人間味を失わないところがこの映画に描かれる人物たちのいいところだと思う。
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