このレビューはネタバレを含みます
屋敷の中の世界しか知らずに育ったベラが
突如世界に身を投げ出して
発達段階を辿っていくストーリー。
ベラは成人の身体のまま
乳児〜幼児〜青年と中身が発達していくが
ある一時期まで社会を知らず
屋敷の中で生みの父ゴッドと家政婦と動物の存在しか知らずに生きてきた(ゴッドの言うところの純粋なサンプルを得るため)、
というところが、まさにこのストーリーの特異な展開を成立させてた。
社会を知らずに生きるということは
人間が社会の中で育むあらゆる概念を持たずに発達するということで、
ベラが世界を冒険するということは
そのあらゆる概念を獲得していく過程でもあった。
これでもかと出てくる性的欲求に従順なベラの姿は
プリミティブな人間の姿に思えたし
不思議といやらしくなかった。
食べることの楽しさ
歌の素晴らしさ
道徳
貧富の差
不平等
良心
不条理
世界を知り、自己を広げていく彼女は
いつしか勇敢で聡明な女性になっていった。
ベラが発達を遂げていく様は、
人類が原始から現在に至るまで様々な概念を獲得していく過程そのものなのだろうと思った。
かつて人間は、限りなく動物的な生き物だったのだろうか。