小川勝広

フロンティアの小川勝広のレビュー・感想・評価

フロンティア(2018年製作の映画)
3.4
奇想のベクトルが全く違うハラショーな作品でした。
わかりづらいですが傑作です。
ロシア伝統のリアリズムか、監督の方針か、スタッフのこだわりかはわかりませんが、
描写の手間暇の掛け方の凄さからのリアリズム→非現実→SFへの展開が見事です。
兵士のドロドロの顔、軍服の汚し方、傷メイク、銃器類の錆び、赤い弾薬箱、青い煙、書き切れない程の細かな描写で戦場の悪臭が臭ってきそうなリアリズムを表現。
シュールなさじ加減も後半はちょっとやり過ぎ感はありますが、まるで寺山修司をも意識しているようです、でもギリギリでアートには走りません。
緻密な絵作りはタルコフスキのようでもあります。
そんなシュールなリアリズムをベースにしたタイムスリップ映画。
主人公自身のファミリーを追いかけて、
そして、「愛は金で買えない」って・・ドストエフスキも忘れない。