TaiRa

mid90s ミッドナインティーズのTaiRaのレビュー・感想・評価

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世代的にも文化圏的にもドンピシャって訳じゃないので割と大人目線で観てた。

10代の頃はストリートカルチャーとも距離あったし、スケボーも乗った事ないんでノスタルジーとかは特になかった。ちょっとワルい先輩に憧れるみたいなのもなかったしね。でもそういう気持ちを抱く少年の感情は丁寧に、かつ言葉少なに描いてて良かった。俳優の監督作である事の良さが端的に出たと思う。ナケル・スミスをはじめ、現役のスケーターたちをキャスティングしたのも上手く行ってる。彼らの生っぽさがリアル。ただ、ジョナ・ヒルとしてはスケボー映画に振り切ってる訳じゃないっぽい。そもそもスケボーにおける水平移動の魅力を撮ろうと思ったらスタンダードサイズの画面は多分選択しないでしょう。過去のスケボー映画と対比できる程観てないんでアレだけど。一番影響受けてるのはやっぱガス・ヴァン・サントだろうね。モチーフとの距離感とか含め。ハーモニー・コリンは知らんオッサン役で出て来るけどね。カッコいいパイセン役としてのナケル・スミスが最高だった。デッキ組んでくれる時の幸福な時間とか、慰めに来てくれる時の優しさとか、年頃に少年が一番憧れる存在を体現してた。最後に映る、まだ価値を持っていない「作品」にエモくなったから、この映画のやろうとした事は成功してると思う。
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