ジョナ・ヒルの初監督作で、二年前の作品。A24プロダクション制作。冒頭、スケボーで形作られた「A24」ロゴがステキ。
おっさん的には90年代に対してノスタルジーは感じないが、当作からは当時に対する強いノスタルジーと愛情が感じられる。
人種、貧困、家庭環境、親子関係、といった様々な社会問題は、ディテールにおいては時代性を背景にしながらも、時代に左右されにくい普遍的なテーマ。
当作ではそれらを押し付けがましく突きつけるようなことはせずに、あくまでも幼少期の背伸びと甘酸っぱさをベースに、90年代LAを背景にして、一つの趣味で繋がる仲間関係と友情(疑似兄弟)を情緒豊かに描いている。
実兄イアンの歪みっぷりと不器用な兄弟愛。
異父兄弟なんだろうなあ。
レイとファックシット、分離した2つの理想的兄貴。
ワル仲間に引っ張り込むだけの先輩ときちんとアドバイスする先輩。
大人の階段を上り始めたばかりのスティーヴィーと、大人の階段を間もなく上り終えそうな疑似兄貴たち。
スティーヴィーの母ちゃん役は「ファンタビ」シリーズや「エイリアン:コヴェナント」に出てたキャサリン・ウォーターストンでしたが、要所にしか出てこなくて割と存在感薄め。あえてあんまり描写しなかったのでしょうね。“親心子知らず”だもんなあ・・・(自分にも身に覚えが汗)。
フェンスの使い方、描き方。
何かこうジワーッとくる切ない作品でした。
あの仲間たちは大人になったらどうなってるのだろうか。