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ナイチンゲールのpapapaisenのネタバレレビュー・内容・結末

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

壮絶。
かなりハードやわ、これ。
直接的な描写は控えめなのに、えぐいほど痛みが伝わってきた。

アボリジナルの方々がイギリスによる侵攻、植民地化で迫害されてたのは知ってたけど、ここまでの負の歴史があるとはね。
犯罪を犯したアイルランド人の流刑地とも知らなんだ。あの時代の侵略国はとんでもないことやらかしてきたんやなぁ。少なくともこの事実は知っておかなければあかんなぁって思った。

まぁ〜それにしても、サム・フランクリンが演じたホーキンスが極悪過ぎたなぁ。人間の悪い部分だけを濾過抽出して、それを100時間煮込んだみたいな感じ。ほんまにこんなに胸糞なやつはそうそう出てこない。こいつには地獄すら生ぬるい。こんだけ一本の映画で嫌いにらさせてくるねんから、素晴らしい演技ってことやな。
あと、下っ端ルースについても、漏れなく許さんからなぁ。なんならこいつの方がムカつく。消し飛べ。

唯一の救いは、クレアとビリーの関係かな。前半で、差別されてるクレアが、ビリーを差別するのはなんか見てて複雑やったけど、中盤から共通の痛みを分かち合い、ある種の友情が芽生えていくのが良かった。互いをちゃんと名前で呼び合い、バディー&ロードムービー的な展開になっていく感じが、この残酷すぎる世界に少し優しさをもたらしてた。ビリーはほんといいやつ。

ラストはなんとも悲しいが、復讐はなされた。どこまで復讐をすることが正しいとかはわからんけど、自分が家族をあんなふうに奪われたら、ビリーのような行動に出るかも。でも、クレアの気持ちもわかる。人を殺すことなんて、容易な心持ちじゃできへんと思うし。

色々な感情は湧き上がったけど、結構な良作です。長めやけど、めちゃくちゃ印象に残りました。
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