しちれゆ

ナイチンゲールのしちれゆのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
3.5
イギリス人がアイルランド人を差別するのは不当だが、アイルランド人(白人)である自分がアボリジニを差別するのは当たり前。そこに何の矛盾も感じなかった時代。
将校ホーキンスへの復讐を誓い旅に出たクレアはアボリジニのガイド ビリーを人間扱いせず高圧的な態度で彼を侮辱しつつも一切合切を依存する。そしてあんなに復讐に燃えていたのに結局はホーキンスを殺すのもビリーに丸投げ。最後は心が通い合ったとは言えビリーは白人同士の無意味な争いに巻き込まれて本当に気の毒…
さらにサディスト ホーキンスの残忍さがこれでもかと描かれる中で″強い″ホーキンスを信奉し、そこにしか生きる術を見出せなかった孤児の少年エディの死が一際痛ましい。けれどついにホーキンスと対峙したクレアが「ぴかぴかの軍服を着ていてもママに愛されなかったの?」と歌う場面で彼の素の心が一瞬垣間見えるのだ。
流刑植民地タスマニアではやがてアボリジニは絶滅する。ラストで2人の眼前にゆっくりと昇る大きな太陽、ここに果たして希望はあるのだろうか。
136分は少々長かった…
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