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ある画家の数奇な運命の17mのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
4.5
前に観に行ったリヒター展で彼の作品の幅の広さに興味を持ち、こちら観てみました!

どこまでが現実でどこからがフィクションかは明かされない約束になっているというこの作品
3時間9分と非常に長く、かつナチの残忍さを正面からぶつけてくるところに重みを感じつつ、最後まで全く飽きることなく興味深く拝見しました。

ドイツの現代美術の巨匠とされるリヒターですが、こういう生い立ちを見ると、現代日本で育った自分とは全く見てきたもの経験してきたものが違いすぎて、本当の意味での彼の表現なんて何も理解できないのでは?と思わされました。

さて、幼少期に美術の才を少し精神不安定な叔母に見出され、叔母と同じ名前の女性と結婚し、その父はまさかのナチに関わりの深い人で、
東で絵画を学び、ベルリンの壁が建てられる少し前に西に移動して、自分の芸術を模索して、と
もう一度作品を1つずつ見直したくなる映画です!

個人的には、言ったか言わないか、映画だからのセリフかもしれないですが、
「まず芸術家が自由でなければ(世界を自由には導けない)」というリヒターの教授のセリフがとても心に残りました。
自分は全く芸術家ではないですが、色んな政治的意志や社会の圧力の中で闘ってきた芸術家たちの作品は改めてその背景次第で見え方が変わってくるし、尊いな、と思った私でした。
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