あろわ

ある画家の数奇な運命のあろわのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
4.5
ナチ政権下のドイツに生まれた芸術家クルトの物語。美しく感受性に長けた叔母の影響で幼い頃から芸術と触れ合ってきたが、その叔母は精神のバランスを少し崩してしまいナチスの優生思想によって断種、安楽死させられる。
大きくなったクルトは美術学校に入りエリーと付き合う。エリーの父親はクルトの叔母の安楽死を決めた元ナチ高官で、ソ連軍からの尋問の際に少佐の奥さんの出産を助けたおかげで無罪放免となっている男だったが、その事実をクルトもエリーも知らない。クルトを認めていない父親は、エリーとクルトの子どもを無理矢理中絶させるなど、未だ根強く優生思想に囚われている。
ベルリンの壁ができる直前クルトは自由な芸術を求め西ドイツへと渡り…

優生思想というドイツの暗い歴史とその時代の抑圧された芸術、そして戦後西ドイツでの自由な新しい芸術が詰まった濃い作品。
モデルとなったとされるゲルハルトリヒターはあまり認めてはいないようだけど、この話が実話だろうと作り話だろうと関係なく引き込まれるものだったし、色々と考えさせられる。
とても好きな映画だった。いつかゲルハルトリヒターのビルケナウを実際にみてみたい。
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