りーん

ある画家の数奇な運命のりーんのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
3.8
「真価がわかるのは本人だけ」 って言葉が残ってる。
いろんなものに触れて感化されるけれど、そんなのは自分じゃない。
自分の頭の中で最も離れ難いものは何か。
それに気づいて描きだした時、確かにこれがクルトの芸術 ってかんじがした。
風で閉まった扉で写った影が、想像もしなかった真実を浮かび上がらせたシーンは胸打たれた。それもまたアート的なのがすごい。
写真でしか映すことのできなかった現実を、芸術を用いることで真実として描いたような。
いくつもの顔が重なった1枚も印象的。
でもクルトはその真実を知ることはないのだろうか…
やっと自分を、光を見つけたような最後の表情が素敵だった。

トム・シリングさんは影を秘めた役が本当に似合うなあと思う。相変わらず歳とらないお顔…
帽子の教授かっこよかった!オリヴァー・マスッチさん「DARK」のイメージ強かったからこんな雰囲気もいいなと思ったり。
その他ちょこっと見覚えある役者さんも発見できて楽しかった。
あと好きなマックス・リヒターの音楽も聴けてよかった。波のような音楽が沁みる。

エリー、叔母のエリザベトに似てるっていうのが見た瞬間からわかるキャスティングすごいと思った。
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