トムヤムくん

7月22日のトムヤムくんのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.1
数日前に鑑賞した『ウトヤ島、7月22日』が、真実を伝えるにしては詳細を省きすぎてて不親切な映画だなと思っていたので、この手の作品では信頼しているポール・グリーングラス監督のこちらを鑑賞。

犯人の準備段階。そしてウトヤ島襲撃の前に起きたオスロの政府庁舎の爆破。更には若者たちが島で襲われたことを知らされる家族の視点すらも描いてるのが、とても親切で丁寧に思えてしまった。やり口は『ユナイテッド93』とほとんど変わらないんだけど、それよりも見せ方が上手くなっている。

まず『ウトヤ島、7月22日』では分からなかったのだけど、全ての犯行をたった一人で行っていたことに衝撃を受ける。そして、そんなことを思っていたら、ウトヤ島のテロは最初の30分ほどで終了し、本編は「テロ後」の話だと気付かされる。

もし自分が映画監督ならウトヤ島のテロを描いて満足してしまうはずなので、被害者の療養、そして心の救済に重きを置いているのが素晴らしかった。また犯人の裁判が終わるまでをしっかり描き切り、多角的な視点で事件を捉えるところにポール・グリーングラス監督の誠実さを感じた。まさかタイトルの『7月22日』がミスリードになっているなんて思わなかったなあ。