千年女優

ROMA/ローマの千年女優のレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0
PRIの一党独裁政権が続き、中南米初の五輪開催が象徴する経済成長を遂げる一方で格差の歪みが拡大する1970年代のメキシコ。その首都メキシコシティの白人家庭で住み込みの家政婦として働くソフィアが、倦怠期で父親が留守がちな一家の母子と育む交友や、やがて妊娠が発覚する青年フェルミンとの恋愛といった日常を描くドラマ映画です。

『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞を席巻したメキシコ人監督アルフォンソ・キュアロンの半自伝的映画で、モノクロ映像に自然音のみと素朴ながらも作り込まれた美しい映像と、それによって彩られる普遍的な人の営みを描いた物語が評価され、Netflix配信の外国語映画ながらアカデミー賞の作品賞の本命と囁かれるなど話題となりました。

引きのショットからゆったり横スクロールしながら映し出す物語は、移民と原住民の末裔が共存する様、陽気さとルーズさを併せ持つ男性に翻弄されつつも逞しい女性、頻繁に起こる地震、汚れが目立ちながらもエネルギーに満ちた街並みといったメキシコの在り様をまざまざと映し出しており、普遍的な人の営みの尊さを感じさせる一作です。
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