けんちん汁

ROMA/ローマのけんちん汁のレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.9
メキシコの話なのに何故ローマなんだろって思ったら、ローマ地区なるものがあるみたいですな初めましての知識でございます。

メキシコはローマ地区で、ある一家に仕える使用人、クレオの静かながらも変動する人生を淡々と描いた作品。

この作品本当に静かで、初めは動的なカメラワークは一切なく、パンや長回しで家政婦の生活を静謐に映すことに徹している。

慎ましく生活するクレオにそれでもなお降りかかる不幸の連続に、途中胸が苦しくなるし、幸せになってほしいと本当に感じました。
子どもができた途端彼氏は消えるわ、勤め先の家の夫婦仲は悪く奥さんは当たってくるわ。車擦らないように神経質な駐車する旦那と豪快に擦りまくる嫁が相性いいわけないから!当たるなよ!
ずっと受動的で端にいたクレオが家族の真ん中に位置するラスト、ちょっとうるっときてしまった

キャストもリアルにこだわり、ほとんど演技経験のない素人たちを集めたらしい。
でも本当に素人?ってくらい、間の演技が上手。

映像面でも
全編モノクロで撮影されているからこその綺麗なシーンが散りばめられている。
水面に映る太陽の光とかめちゃくちゃ綺麗だし、かと思えばデモのシーンなど迫力のあるシーンもあって、キュアロンもう見せ方を知り尽くしてるなぁ
また劇伴もないので、環境音がよりクリアに聞こえて、本当にクレオの日常を追体験しているかのような気分になる。

キュアロンは生と死というテーマの作品が好きだと思う。
最近あかんぼうを舞台装置として使うことが増えたが、これも赤ん坊とは死と生のちょうど間にいる存在だからなのかな?と私は思います。
そして最後の舞台が海。これも天国の口などで見せた、生と死をモチーフにしてる。海は生命の象徴であるから。

撮影も編集もキュアロンらしく、相当な思い入れを感じる。
どうやら彼の過去の経験が詰め込まれた作品だそう。
たぶん汲み取れてない演出も沢山あるし、それくらい作り込まれたキュアロンの職人魂を見せられた素晴らしい作品でした

モノクロち○こボロンにちょっとびっくりしたのはここだけの内緒🤫