紅茶

ROMA/ローマの紅茶のネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

Netflix作品なので劇場では見られない作品みたいです。

処女の泉、男たちの大和、第三の男以来のモノクロ映画なような気がします。


冒頭のシーンでセンスの良さが分かります。
本編では横移動に専念してるカメラワーク。最初と最後のシーンは縦移動。天才的です。芸術がよく分からない私もこれはまさに芸術だと思いました。



とあるお家の家政婦として働くクレオ。
色んな死を日常的に感じるクレオには、毎日がどんな風に映っていたのでしょうか。

この作品、「死」に重点を置いてます。
「子どもが頭を撃ち抜かれたんだって」、「死ぬのも良いかもね」、子ども達の喧嘩での「打ちどころが悪かったら死んでたわよ」、地震でNICU内の赤ちゃんが亡くなるシーン、死人を目の当たりにするシーン、死産、子どもたちが海に溺れかけるシーン。


終盤の子どもたちが海に溺れかけるシーン。クレオが必死に助けに行くんです。
その後にクレオが言った「赤ちゃんを産みたくなかった」という言葉。その言葉が全てであり、クレオの初めての本音だったのです。
家族皆が家政婦を抱きしめる。
このシーンが本当に美しかった。

家族や愛にも色んな形があるんだなあと考えさせられる作品でした。
この人たちにとっては絆も深まって、愛を分かちあって、とても大きな経験でした。
でも世界は変わらない。表面的には見えない。
そんな日常を生きていく。それが人生。


家族の母親が「皆で冒険するのよ」って言います。ところどころ飛行機が出てたのは、何かの旅立ちを意味していたのかな。
最初と最後のシーンで飛行機が出てたのも良かったです。


大きな盛り上がりがなく、総合的に見れば単調なのできっとつまらないと思う人も多いと思います。日本とは違ううるささ、静かさ、そういったものを感じるのが好きな人には合うと思います。
私は好き作品でした。
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