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ROMA/ローマのわのネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

内山昂輝の1クール!内で紹介されており視聴
本稿では、脚本の内容について述べるため、映像については内山昂輝の論評を聴くことをおすすめする。

近年の映画によく見られる、「血のつながり以外の家族愛」がテーマだと私は感じた。
日本では、是枝作品で顕著に表れるが(「そして父になる」「万引き家族」「三度目の殺人」など)「家族」というのは、血のつながりによって必然的に生まれる事象ではないということが分かる作品だった。

 クレオが妊娠した時、まず心配したのは子供のことではなく、自身が解雇されるのではないかということ。マタニティグッズや病院も雇い主に言われるがままで、自ら動く様子がないこと。そして最後の海辺でのセリフから、血のつながった子供とクレオは家族になれなかったことが理解できる。
 また子供の遺伝子上の父である男からも拒絶され、旧世代で理想とされていた家族像は、完全に破綻していることが分かる。
 雇い主家族も父親の離脱により、理想の家族像からほど遠い関係性になっていた。

 クレオは雇い主家族には「愛している」とこともなげに伝えることができるが、自身の子供には永遠の別れであっても「愛している」と伝えることはできない。
 そして、雇い主の子供の危機に際しては命をかけて助けに行くが、デモの際に銃口を向けられた時は、お腹を守る素振りもなかった。
 以上の対比により、クレオが自身の子供以上に雇い主を大切にしていることが読み取れる。

 対して雇い主家族からはどうかというと、これはまた別の問題になってくる。リビングでテレビを見る際、家族はソファに座っているのに対して、クレオは床に座っている。食事も別。寝る場所に至っては、同じ建物ですらない。
 たしかに、雇い主家族はクレオを愛してはいるだろうが、その愛には格差があることが読み取れる。意図的なのかはわからないが、ペットの犬と一緒に映った人物はクレオが一番だろう。雇い主家族からクレオへ向けられる愛は、ペットへの愛情に近いのかもしれない。

 英語字幕で見たため、かなり理解が浅い部分あり、もう一度日本語字幕で見直してみようと思う。
「家族愛」に着目した近年の作品と対比しつつ見てみると、より楽しめるかもしれない。
また、内山昂輝もラジオ内で強調していたが、映像がとにかく美しいのでスクリーンよりも4kや8kテレビなどで見るのをオススメする。
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