ミシンそば

ROMA/ローマのミシンそばのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.6
とうとうレビュー1000本行きました。
まぁそれはそれ、これはこれ。
個人的な事情で今週中に「哀れなるものたち」観れるかどうか怪しくなってきましたが、今日も金獅子賞受賞映画観てきました。

配信された6年前には、注目度も相まって正直アカデミー賞作品賞も取るだろうなと思っていましたが、今日観て「これ獲れなかったのはやっぱりちょっとおかしいのでは?」と正直思った。
「グリーンブック」も好きな映画だけど、明らかに当たり障りのない選択をアカデミー賞はしたな、と。
NETFLIX作品は未だに作品賞を獲れていない一方で、サブスク配信映画自体には門戸を開ているのに…。

前置きが随分長くなったけど、話の流れは中産階級のごく普通のメキシコ人家庭と、そこで働く家政婦の若い女性を中心にした日常の話である。
アルフォンソ・キュアロン監督の自伝的要素も含んでいるとのことだが、多分キュアロンのアルターエゴは4人の子どもの中で一番無邪気なペペだよね?(自分の解釈では)。
子供のころの自分が知らなかった部分、知り得なかった部分を膨らませて、当時を懐かしむ追想と、ほんのちょっとの露悪思考で組み上げられたこの映画は、ものすごく大きな力を感じるし、その力に抗いつつも抗えない“小”の悲哀を優しく包み込んだようだった。

とは言え露悪思考が挟まっているから、主人公とその雇用主一家を取り巻く状況はハッキリ言ってずっと悪くなるばかり(当時のメキシコの政情も絡んでいるようだ)。
かなりドギツイ、目を覆いたくなるようなシーン(と、劇場公開時にR-15の原因になったであろうクズ男のフルティン)もあるから好きか嫌いかで言うと正直後者ではあるけど、一生に一度は観ておくべき作品であると思う。