アン

ROMA/ローマのアンのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.0
この作品は高解像度のモノクロ映像を使うことで、メキシコシティ コロニアローマのある家族の周囲を詩的 素敵 魅力的に、家政婦クレオの視点を移しだすことに成功しています。

今作一番の成功ポイントはルベツキを撮影監督に使わなかったことだと思います。
キュアロン監督自身が撮影したことによりモノクロで背景まで鮮明にピントがきている映像が作り出され、物語に見事に調和をもたらしました。
通常全体にピンがきていると絵全体がのっぺりとしてしまう傾向にあるため、F(絞りの値)を大きくして撮ることはあまりません。しかし今作は光の取り入れかたと長回しにより、のっぺりとした絵面をのっぺりと認識させずに魅せることができていました。(フォトグラファ目線)
パッキリとした絵が好まれる場合もありますが、パッキリとした絵はどうしても粗が目立つものです。そのためフォトグラファとしてはFを絞りボケ感をあたえ、光のハレーションやときにはふんわりとした仕上がりになるようにFを調節して撮影をします。Fが開き切ったまま撮るということをルベツキであればやらなかったのではないかなと思います。

終盤のビーチでの逆光での長回しシーンは、背景が開けていてほぼ空(から)であったことでごちゃごちゃとせず、太陽からのハレーションが絶妙なボケ感を演出していて、一枚の絵として非常に完成度が高く悔しくなりました!あのシーンは何度でも観ていられます。

みんなクレアが大好きよ! で何故か 茄子 アンダルシアの夏 を思い出しました。

しかし内容に対しては長尺かな。
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