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ROMA/ローマのchaooonのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.3
家政婦クレオから見た日常が淡々と描かれていく。
カメラワークも、あんまり人物にクローズするカットもなく、一歩引いた位置で、俯瞰した映像が多く、しかも固定や横移動のショットが主で、複雑なものはない。
それ故に登場人物の"感情"の部分もどこか淡々としている。
雇い主の家族やクレオに訪れる出来事についても、特にクローズして状況を細かく突き詰める描写もない。

普通映画って、登場人物の感情や境遇を描き出すことで、観ている私たちも共感出来て、物語に入り込む流れだと思うけど、そういったこともほぼせず、とにかく一定のテンションから外れることがない。

それなのに物語が進むに連れて、ちゃんと彼女たちの気持ちに少しずつ寄り添っている自分がいた。彼女たちに訪れる出来事がただただ辛く、共感しやすいからってのもあるけど、固定のカメラの位置がなんとも絶妙だったり。

出てくる男性陣がとにかく下衆!女性に対する敬意のカケラもない!いや、だからこそ彼女たちに共感できるんだけど。とにかく怒りが!

その流れで迎えるからこそ、ラストが凄い。淡々と蓄積された感情が、クレオが内に秘めた想いを吐露した瞬間に爆発!瞬間的に嗚咽…。゚(゚´Д`゚)゚家で一人で観てたから、脇目も振らず、子供みたいに声を上げて泣いちまったぁ。

全編モノクロでありながら、時折色彩が見えるような不思議な映像。光の美しさ。カラーで普段見ている映像よりもモノの質感を強く感じる場面も。
カメラワークがシンプルだからこそ、アングルが完璧で、調和の取れた映像に見惚れる。
オープニングの映像がとにかくカッコいい!水に映り込む空!飛行機!オシャレすぎて震える〜!!
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