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ラストレターのmoridonのレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
3.7
“愛”と“死”についての物語であると同時に、一人の男の成長物語でもあると感じた。

姉の振りをして手紙を書いていれば姉の人生が続いているような、そんな気がしたという裕里のセリフ。死んでしまった人でもその人のことを忘れさえしなければその人は生き続けるという考えは、まるでピクサーの『リメンバー・ミー』を彷彿とさせる。突拍子もないことのように聞こえるが、残された者にとっては救いとなる考え方だと思う。

そして初恋の人を守ってあげられず、彼女を死に追いやった張本人からの鋭い一言に何も言い返せず、自分は何者でもないのかもしれないと感じていた乙坂。しかし“サインを求められる”という事象が、彼を目覚めさせてくれたんだと思う。自分の小説に、自分の名前を書く。そこにいるのは間違いなく、小説家である自分。

演出の数々があまり自分の好みとするものではなかったですが、言葉の選び方ひとつひとつがとても綺麗で、ずっと見入ってしまった120分でした。
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